前回の【伊賀の近代建築を巡る】前篇「煉瓦橋やら銭湯やら」は、茅町駅から銭湯などをめぐり北上してCafe wakayaでランチまで。後編は城周辺に残る学校建築や明治時代の警察署、伊賀城を巡ってゆく。
おいしいランチを食べた後は本町通りを東へ。
うまく活用されている古い建物の店舗や元標などがあった。
さらに、すすむと半開放的なアーケードがみえてきた。これは新天地商店街という短い商店街だ。
脇には少し洋風な住宅。
すすむと、映画館の跡もあった。
後ほど調べてみると現在、伊賀上野では映画館が0件らしい。みんな家で満足してるのか映画自体をみなくなっているのだろう。
また、最近は商店街のアーケードが急速に撤去されている。明るさを確保したり維持費がかかる、危険とかの問題でそうなってきているそうなのだが、私はアーケードの雰囲気が好きだ。アーケードの無い商店街は町に埋もれ、ただの道になってしまう。なんとかアーケード維持で動いてもらいたいな。。
アーケードを越えると上野市駅だ。屋根の形とドイツ壁仕様から古い建物なのがわかった。
駅舎に入ってみると、ちょうど10月1日より壁の改修を行っているようで、内部の煉瓦が露出していた。外観からは分からなかったが煉瓦が使われていたようだ。
駅から西にすすむ。
目に飛び込んでみたのは特徴的なカラーリングの木造建築。
窓周りやファサードの作りが装飾的で面白い。中はどんなだろか。元警察署とのことだが、その後地元の作家が購入し現在は市の管理に移っている。
中も見学できるように対応をぜひお願いしたい。
北にすすむ。
遠くに学校がみえてきた。近くに寄ってみると、立派な門とその後ろに巨大な学校建築がみえビックリした。
これほどのものを作れるとなると当時の町の勢いはすごいものだったのだろう。
学校関係者に許可を得て間近で拝見。
柱も複数本が合わさって面白い。それにしても、それぞれが巨大だ。
学校から北にすすむと伊賀上野城内だ。
何やらセレモニーで甲冑隊がいたり、他にも城やら忍者があったのだが、それには全く興味が惹かれず、城域内にあるという松尾芭蕉を祀ってある建物に向かう。
なんと面白い形だろう。椎茸がのっているような形で近くでみると迫力も凄い。
脇の説明板を読むと伊東忠太が関係しているようである。伊東忠太ということで変な生き物の彫像を探したが、こちらにはなかった。残念。
中には伊賀焼きで松尾芭蕉像と台などが作られている。
近くの観光ボランティアの方に建物目的で来たとお伝えしたら、ご親切に城の石垣と近くの旧小学校がすごいと教えてくれた。
実は小学校の方は事前に調べていたところだったのだが、石垣は特に調べていなかったので、一応見に行ってみた。
高さが凄い。
ボランティアの方のお話では大阪城と同じ高さとのことだが、柵や手すりが無いからか何故かこちらの方が高く感じた。これはみる価値があると思う。
近くの東屋は涼しい風が吹いて休憩にぴったりだった。
教えてもらった旧小学校に向かう。城からは少し遠回りで行く必要があった。せっせと自転車を走らせていると、少し小高いところに塔らしきものがみえてきた。
期待が高まり建物下まで行くと、階段の上に塔を備えた木造学校建築がみえた。すばらしい。
自転車を停めて階段を登る。
白い木造建築が眩しい。塔も面白い。隅石もあるが恐らく石ではないだろう。
入り口には龍の彫刻。
床は七宝つなぎの文様が石でデザインされている。
室内に入るとなかなか心地よい。
教室は少し変則的な構成。ちょうど昔の教育道具の展示がされており楽器や机など実際に手にとることができる。昭和40年代ごろまでは学校として使用していたようだ。
急な階段を登るたカラフルな色ガラスがみえてきた。
残されていた色ガラスから何枚か復元しているそうだが、どれが元のものか判別出来なかった。色ガラスの光が柱に注ぎ綺麗だった。
室内に入って色々な展示をみるが真ん中にバルコニーの部屋があった。
またこちらには先程以上の色ガラスが嵌め込まれていた。非常に美しかったが、これの学校建築への必要性を考えたが、特に思い浮かばなかった。
学校を堪能し外の階段を降りて次の目的地に進もう思ったが、自転車を停めた後ろの建物が面白かった。
どうも消防小屋のようなのだが鬼瓦がすばらしく左右に虎と龍であった。ただの小屋なのに豪華で不思議な感じだ。
次にかなり北にある服部川沿いにある施設に向かう。
自転車を走らせていると固く柵でガードされた施設がみえてきた。柵の間から覗いてみると、なかなかにかっこいい建物だ。バルコニーみたいなものが二階くっついているが入口はなく、説明板を読むと二階建てすらフェイクとのこと。
水道施設や変電所などインフラ関係の建物は結構古いまま使われていて見所も多いので狙い目だ。
さて、予定していた建物見学全て終わり、最後の締めとして前編で確認していた一乃湯の湯に浸かりに向かう。
送水機関室からかなりの距離を一乃湯までもどだてくると午前中には消えていたネオンサインがキレイにひかっていた。
古い門柱や銭湯の建物となぜか微妙にマッチしていて、はやく湯に浸かりたい気持ちになった。
脱衣所は古い作りがある程度残っているようで嬉しい。浴室はキレイにタイルが貼り直され気持ちよく湯に浸かれる。一日、漕ぎ続けた自転車の疲れも抜けていった。湯上りに地元の牛乳をいただき大阪への帰路に着いた。
このタイルは他地域でもたまに見かけるのだが、伊賀ではかなりの頻度で見かけた一時期局所的に流行ったのかもしれない。
伊賀は忍者推しなのだろうが前編、後編でもわかるように古い建物も結構残っている。こちらを楽しみに巡ってみるのも良いのではないだろうか。ぜひおススメしたい。
※帰って調べてみると見落としてる建物が、まだまだいっぱいあった。また訪れねば。。
以上。
→ 【伊賀の近代建築を巡る】前篇「煉瓦橋やら銭湯やら」もご覧になってください。
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